社畜だった御年48歳の親父がCyberpunk2077にドハマりするまで
このお話は、2022年度げむ鯖Advent Calender 2022の24日目のお話です。メリークリスマス。
今からお話するのは、PCゲームに無頓着だった親父がCyberpunk2077にドハマりするまでのあらすじをそこそこ簡略化しながら書いたものである。暇なときに呼んでくれたら幸いだ。
登場人物
私:ゲーム大好き。ゲームやりすぎて大学の単位落として自主退学したくらい大好き。
現在はIT系の仕事に就いているが、当時はフリーターで某中古小売業に従事していた。
好きなポケモンはトリトドン
親父:社畜。某大手企業勤務。
私が起きる前に家を出て、寝た後にいつも帰宅する。まともに会話できるのは土日くらい。
虫歯をこじらせすぎて実は奥歯が無い。好きなポケモンはネンドール
おかん:IT系の仕事に従事している。料理がめちゃんこ上手。
好きなポケモンはトゲキッス
猫:4歳。可愛い。
好きなポケモンはマリル(人形で遊びすぎてボロボロ)
コロナの”お陰”
2019年、まだ人類はマスクもせず、規制もされず、平穏な日々を過ごしていた時。私は大学生だった。
マレーシアという国で大学生をしていた私は、”海外大学進学”という言葉にあこがれて入ったものの、正直面白くない、つまらない、理想としていた講義じゃない、だるい。ハッキリ言ってネガティブな感情しかなかった。
マレーシアの留学時、私は寮にいた。普通のマンションの1室を4人で共有している感じだ。すぐにWi-Fiが止まるし、エアコンは効かないし、太陽も一切入ってこない”はずれ部屋”で私は生活していた。ただそんな中唯一楽しくかったのげ一緒にゲームをする事。よく友人とレインボーシックスシージで同じパーティを組んでプレイしていた。
そして、もう1つ私は娯楽を見つける。PUBG JAPAN SERIES、通称PJSという大会の存在だ。(Liquidpediaの海外サイトで申し訳ない)
この大会は当時流行の最先端だったPUBGの国内大会。まだこの当時はApex Legendsも登場しておらず、「バトルロワイアルのシューティングゲーム=PUBG」という認識が一般的だった。League of Legendsがeスポーツの競技シーンをけん引している中、PUBGも当時から人気は絶大だった。
PJSは艦これや刀剣乱舞などでお馴染みのDMMが主催して行われていたもの。実況はeスポーツキャスターではすっかり大御所になっているOooda氏、解説は今なお絶大な人気と視聴者を持っているShakaさんだった。やはりこの2人の人気力もとてつもなく、今でも名コンビだ。
私自身はPUBG自体はプレイしていたものの、当時の8GBしか積んでいない私のゲーミングノートパソコンではクラッシュすることがしょっちゅうあった。そして、日本人の他の人とDiscord等でやり取りするとしても、私は当時日本に住んでいなかったので、Pingの差もあった。なので”観る”という形でゲームを楽しんだ。後にこのPUBG JAPAN SERIESが親父を動かすのだが。
2019年の年末、年越しくらいは日本で過ごそうってことで、日本に帰国した時におかんから「コロナとかいうヤバイウイルスが中国で流行っているらしいわよ」と聞いた。私はのちにこのウイルスのせいで帰国を余儀なくされる。この話をすると、今回の主旨とはそれるので割愛するが、要は感染者数が増えてパンデミックで日本で水際対策が強化されて日本に帰れなくなる可能性が高くなり、その前に帰った、という流れだ。
2020年5月。コロナ禍で迎えた誕生日はいつもより小さいホールケーキを食べていた。そしてふと私は思い出し、おかんに言う。
「そうだ、PUBGの国内リーグ、今日から始まるんだ。見ていい?」
首を縦に振ったおかんを見て、私は徐にパソコンのHDMIケーブルをPCとテレビに繋いでTwitchを開く。基本的にPJSは土日のみ開催されいるため、この日は親父もいた。いつも通り楽しみながら試合を見ていると、横で親父が食いつくように見ている。ゲームに全く興味もなかった親父が試合を真剣な眼差し見ている事に気付いた時、「何か新しい世界に出会い、その目撃者となっている」ように思えた。
親父は基本的に平日は深夜に帰宅し早朝に出社する。大体親父に「明日は何時に帰るの」と聞くと「うーん、11時かな」と答える。「絶対労基で裁判起こせるだろ」と思いながら「あぁ…うん」と答える。寝言をたいてい仕事の話。私は親父以外に「会社から『頼む。有休を使ってくれ』とお願いされる」ような人間を見たことが無い。まさに絵にかいたような社畜だった。
ただそんなもはや会社が自宅になっている親父もコロナの影響で1ヶ月ほどリモートワークをする時間が出来た。朝昼晩暇そうにしており、「うーん、リモートはやっぱ向かないな。会社行かないと集中できん」というのが口癖になっていた。多分これは多く人に当てはまるであろう。通勤時間になっていた時間、お昼休みの時間、休憩の時間、それぞれ削られたことにより時間が空く。だったら”もっと遅く起きて来いよ”と思うが、親父は何故か6時には起きている。「癖なんだよ」と”嫌な癖”が付いていた。
ただ在宅で、時間が余っていたのも事実。いつもならPJSが始まる17時頃までには帰宅していなかったが、在宅により第1試合から見始めるようになっていった。親父がPUBGからeスポーツの競技シーンにハマり始めている事を悟った私は、ある日レインボーシックスシージの大会を見せたが、あまりこちらは刺さらなかった。なぜPUBGのみハマったのか聞くと「のんびり見れる。野球みたいなもん」と言っていた。確かにPUBGは1試合平均25分~30分ほどかかるので、言っている事は共感できた。次第に我が家の夕食の時間はテレビではなく、PUBGを見るようになっていった。ルールも「生き残れば勝ち」だし、バトルロワイアルゲームが一番理解されやすいのかもしれない。
“兄者弟者”と”RTX3080″の到来
我が家にFireTV Stickがやってきた。テレビのHDMIポートに刺すとYoutubeやAbemaなどがテレビで見れるようになるというものだ。今でもお世話になっている。
このFireTV Stickにより、家族の食事中に見るものが「テレビ」と「録画」の2択に加えて「Youtube」が加わった。
ある日、いつものように起きてくると親父から「なんかおすすめのYoutuber教えてよ」と言われた。どうも最近のテレビが面白くないらしく、Youtubeがテレビで見れるようになったとて、HIKAKINくらいしか知らないので新境地を開拓したいらしい。私がよく見ている加藤純一は見せても万人受けしないし…誰が良いかなぁと思った時にふと「兄者弟者はどう?」と言った。大塚明夫に激似の渋く落ち着いた声とゲームの上手さでとても人気のある実況者である。一時期ドハマりして自分も見ていた時期があったし、ゲームというところでは万人受けすると思ったので紹介した。とりあえず私がやってみたいと思っていたWatch DogsとFar Cry 4の実況を紹介してみた。
すると親父はしっかりとドハマりし、「おいもっとYoutuber教えてくれよ」と言われたので、「きまぐれクック」や「加藤純一」や毛色は変わるが「RTA in Japan」なども教えた。特に親父は兄者の「SEKIRO」の動画にハマっていた。そしてみるみるうちにゲームの世界にハマっていったのだ。いつの間にかプライベート用のipadでも通勤退勤時の電車の中でも見るようになり、1週間で「次良いのある?」と聞いてくるほどハマっていた。
その流れで特に親父は兄者弟者が先行プレイしていたCyberpunk2077にも興味を持っていたようで、「やりたいなぁ」と毎日呟いていた。確かにCyberpunk2077をやれるようなパソコンは当時家にはなかった。
当時RTX3000番台が発表されゲーミングパソコン界隈が盛り上がっていた。そもそもそれまででていた2000番台でも個人的には凄い性能だと思っていたが、それよりも凄いと各ガジェットメディアが報じていた。そもそもゲーミングパソコンがゲロ高いのは周知の事実だが、それに拍車をかけるかのように当時はマイニング絶頂期でビットコインも500万円前後の相場だったこともあり、グラフィックボードの品薄が顕著で、通常の1.3倍ほどの値段になっているor品切れが続いていた。当時はマイニング制限版など出ているはずもないし、後に自分もこのグラフィックボードでマイニングをするのだが、24時間動かしてるだけで6000円稼げたのだ。
ある日「うーん、欲しいなぁ」とパソコン工房のサイトを眺めていたら、奇跡的にRTX3080を搭載したゲーミングパソコンが「在庫アリ」になっていた。約28万円。
ここしかない。このタイミングしかない。
「父ちゃん!!!ゲーミングパソコン買おうぜ!!!」
親父にRTX3080とは何か、ゲーミングパソコン云々の環境などを事細かく説明し、親父がやりたいゲーム全部出来る!!!私は熱弁した。
「うぅーん、確かにやってみたいし…買うか」
この時私の脳内BGMはガンダムユニコーンの勝利BGMだった。ユニコォォォォォォォォンン!!!!
Cyberpunk2077とSEKIRO
1週間後、我が家に強いPCが来た!モニターは165Hz出る27インチのモニター、キーボードやマウスなども一通りゲーミング系の物を一通りそろえた。
少し逸れた個人的な話になって恐縮だが、私はマレーシアでゲーミングノートパソコンを買う前、よくゲーミングパソコンが置いてあるネカフェにいた。1日のうち半日はいた。朝起きて、大学に行って、終わったらその足でネカフェに行って、夜0時に帰る生活をよくしていた。理由は簡単でゲームが好きというのもあるが、とにかく安いのだ。そもそも物価が日本より安いのもあるが、13時間で約1,000円で利用できる。PCのスペックは確かGTX1650を搭載していた気がする。よくそれでApex Legendsをずっとやっていたものだ。
話は戻るが、当時の最新機種でまずApex Legendsをやった。めっちゃぬるぬる。ナニコレ!!!!すげぇ!!!当時衝撃を受けたのを覚えている。こんなものが我が家にやってきたのだ。物凄い革命が我が家にも訪れた。次は親父の番だ。親父は早速steamにアカウントを作り、そして Watch Dogsを買った。しかし1つ重大なミスを我々は犯していたのだ。
親父、FPS/TPS視点のゲーム全然できない
そうだった…いつもは上手な兄者弟者の視点を見てるから上手い風に見えてただけだった…そうだ技術力ないんだった…「ま、まぁこれは慣れしかないよ…うん…」と諭した。幸いにも当時は10月末。Cyberpunk2077は記憶が正しければ2020年のクリスマスに発売されたはずだ。2カ月あればどうにでもできる…親父は仕事終わりや土日にちまちまとゲームをし始めていた。実際ちまちまやってたのが功を奏したからか、Cyberpunk2077が発売されたときには既にFPS視点でも出来るようになっていた。慣れればこっちのものということだ。
さて、主題のタイトルにCyberpunk2077にドハマりと書いたが、そのほかにもフロムソフトウェアのゲームにもドハマりしていた。特にSEKIROは「ぜったいクリアできないけどやってみたい」と親父が購入し、無事赤鬼までしか行けてなかった。私も途中の葦名弦一郎までしか行けなかった記憶がある。やっぱりフロムは人を虜にするんだなァ
Cyberpunk2077もすごくハマっていた。年末年始多分ずっとビール飲みながらやってた気がする。キアヌ・リーヴスが出てきて「うっわ!本物やん!キアヌやん!」と興奮していたのも覚えている。
やはりゲームは年齢の垣根を越えてハマらせるんだなぁと目の前で感じたし、これが実は次第におかんに影響を与え始める。
シージとおかん
突然ですが皆さんX-MOMENTってご存じでしょうか。X-MOMENTとはNTTドコモが主催しているeスポーツの大会です。現在はPUBG Mobileとレインボーシックスシージの大会を主催しています。
2022年5月、段々とゲームの大会がオフラインになり緩和され始めたころ、おかんからこんなことを言われた。
「ねぇシージの大会見に行かない?」
何事?私はValorantでZETAが世界3位を取る前までの日本最高位、Wokkaなどがいたころの野良連合が世界4位になったところを生で見ていた。そしてシージは既にリリースから時間も経ち、かなり衰退してると思っていた。
シージの大会は衰退しているどころか逆に全盛期の盛り上がりを復活させているようで、自分が過去に見た選手やキャスター、新進気鋭の選手との交流も行われていた。とはいえ「なんでシージ?」と聞いたらおかんはこんな事を言った。どうも私がふとYoutubeの生配信で見ていたX-MOMENT主催のリーグ戦に参戦するためのオープン大会の内容が関係していたらしい。
そのオープン大会に出場していたチームの中にZeptoというチームがあり、そのチームはオープン大会で準優勝に終わった。もちろんこの先にあるリーグに行けるのは1チームだけ。最後の最後で負けたという事だ。そして、そこに所属していた選手のTwitterを見ると「ここで負けて、来年までお預けです。年齢も年齢なので、引退を考えています。」とツイートしていたのをおかんは見たらしい。
ただ数か月後、奇跡的に1枠は入れるチームが開いたのだ。そしてそこに選ばれたのがオープン大会準優勝のZepto改めScarzであった。「年齢というところで一時期は引退も真剣に考えていた選手達が奇跡的に掴んだチャンス、応援したくなるでしょ」という言葉には納得がいった。
結論から言うと、Scarzはここから既存の世界大会出場経験チームなどを跳ね除けシーズン2連覇を果たす快進撃を見せるのだが、我が家に置いてeスポーツへの入り口をさらに広げてくれたのはおかんに違いないと思っている。そこから色々なタイトルのゲームを食わず嫌いせず見るようになった。カワノくんが勝ったEVO2022や、ロケットリーグ、ブロスタやLoLなどなど…それらを通してRejectやZETA、CRやDFMなど多くのチームを知ることが出来たし、今日においてeスポーツ観戦は我が家にとって生活の一部となっていた。
終わりに
私はあんまり文章が書くのが上手な方ではないので読みにくい部分や拙い部分などあったら申し訳ない。
ゲームを通して色々な出会いや経験が出来たのは事実だし、家庭も明るくなったし、しっかりとそれが生活にフィットした。Cyberpunk2077はここにきてアップデートを施す予定らしく、親父もやる気満々だ。
来年も新しいゲームのプレイ、観戦、ともに家族で楽しんでいきたい。